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2019年1月9日

人材から人財への道のり
VOL 19::家族と一緒にいたいので、仕事をやめます。

過去には何度か「長いこと都会に出たので、実家に帰りたい」と言って、仕事を辞めたいと申し出る社員がいました。10年ほど日本に留学し、そのまま結婚して実家から出っぱなしの私には、とても理解できない気持ちでした。家族の絆とはどんなものかなと気になっていました。そこで、今回は、ベトナム人が家族と一緒にいたいと言っている理由はどのようなものかということを情報収集してみました。

まず、ホーチミンからバイクで4時間ぐらいかかる地方出身で、ほぼ毎週末、田舎に帰っている社員に聞いて見ました。男性だったので、家業の手伝いすると言っていました。ご家族は果物の卸売りしていらっしゃるので、実家に帰ると、果物を運んだりするそうですが、よく聞くと、田舎の友人やご親戚と笑いながらベロンベロンになるまで飲んだりしている頻度も多いらしいです。田舎に帰る理由は慣れ親しんでいる自分の故郷で家族・友人たちとリフレッシュしているのだという事実が見えてきました。

リフレッシュと言うと、ある社員が長い休日を利用して、家族とヨーロッパ旅行をしており、休み明けに姿を見せず、電話も不通となるという事件が過去にありました。慌ててすぐ、本人に連絡したら、まだ、海外にいて、帰れませんといいます。その後、メールしても、返信がありませんでした。一週間後にようやく会社に来て、よく聞くと、ご両親から会社に戻らず、休みを伸ばしてほしいと言われたので、帰りませんでしたとのこと。仕事もそれなりにできるスタッフだったので、とても残念でしたが、解雇せざるを得ませんでした。ご両親の一方的な意向で子供のキャリアまでダメにする一例でしたが、(ご家族がお金持ちだったからかもしれませんが)日本と比較して、ベトナム社会は全体的にあまりキャリアを重視していないのではないかと思いました。

各メディア、世論も、仕事よりも家族に時間を割くことの重要性や、家族に時間を割かないことによる、将来に起こりうる苦労や後悔の実例が紹介され、キャリアを選択するより家族を大事にする考え方を前面的に押しています。しかし、実際に、家族を選択することについての意味とはなにか、結果的にほとんどの方が、ただ一緒に時間と場所を共有するといっただけの内容になっています。家族と一緒にいたい気持ちが先行して、しっかりと考えずに、キャリア形成をストップしてしまう結果になってしまいます。

若いベトナム人スタッフに対して、キャリア形成及びプランニングの知識があれば、もっと意識してもらえるかもしれません。事実上、ある社員から、結婚するためにマンションを買うので1年限定でお金を貸してほしいという申し出がありました。金額も大きくなかったので、最終的に会社ではなく、私個人で貸してあげましたが、今はすでに完済しており、あとはご両親に対してだけのローンだけが残っているそうです。やはり、この社員をみていると、この社員は誰よりも頑張っており、成長意欲がとても高いです。長期的な考えがあれば、キャリアもお金もより重視する一例と言って良いと思います。今後は、新入社員には、キャリア形成及びプランニングについて、レクチャーすることにします。

次回は、今回のお題と関連づけまして、「ベトナム人の計画性のなさ」について、考えたいと思います。

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プロフィール
Nguyen Dinh Phuc
E-mail: nguyen.dinh.phuc@hrnavi.com
Tel: 097 869 8181

国費留学生として、選ばれ、1996年~2006年まで日本で留学と仕事を経験したのち、ベトナムに戻り、日系企業に対して、経営助言のコンサルティングをしました。ベトナム人は比較的にレベルが高くないという実態をなんとかしたく、2010年からアイグローカルリソースを創設、ベトナムにある人材のレベルアップを会社のミッションに、日々、努力しています。