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2018年5月17日

輝く日本人
Vol 11::Manabox Vietnam Co,.Ltd 菅野さん

氏名:菅野 智洋さん
会社名:Manabox Vietnam Co,.Ltd
役職:代表取締役

現地代表の菅野さんです!若くして才能溢れる知的な方です。

嶋村:本日はよろしくお願いします。では自己紹介をお願いします。

菅野さん:マナボックスベトナムの菅野(すげの)と申します。日系企業様を対象に、進出前調査から設立登記等、設立後の経理・税務支援までワンストップでサポートさせて頂いております。具体的には、ライセンス取得支援や経理業務や税務申告支援等です。それに加えて、「海外子会社は仕組みが9割」というテーマで業務を行っています。砕いて言うと、「グローバル経営管理に関わるあなたが、間接・管理業務の仕組みを構築して、感じる必要のないストレスを軽減し、あなたが本当に必要と感じているあなたにしかできない付加価値の高い仕事を行えるようになること」をサポートしています。さらに、「経理・税務に関する教育」の支援も実施しております。

嶋村:ベトナムにはいつ来られましたか?そのきっかけも教えてください。

菅野さん:2年前ですね。それまでは、日本とインドで働いていました。

2006年に公認会計士試験に合格し、大手グローバルコンサルティング会社に入所しました。そこで7年間、日本で勤務していました。2013年から2016年までは、インドの日系の自動車部品の製造会社の経営管理に携わらせて頂きました。

「他の人と違うユニークなキャリア」という点を重視していたため、インド+製造会社(外部ではなく内部から)というキャリアを選択しました。当時、インドは海外勤務先として人気がありませんでしたので日本人は多くはありませんでした。また、真の助言をするには、内部から会社に携わる必要があるんじゃないか?という考えが強くなり、事業会社である製造会社を選択しました。インド駐在経験の中で、海外で頑張っている日本人は、苦労している。疲弊している。実力を発揮できてない。という問題に直面しました。つまり、付加価値の高い業務にほとんど時間を使えていないのです。「この問題を解決しなきゃ。このままじゃ日本は苦労するんじゃないか?」という想いが芽生えてきていたのですね。そんな中、マナボックスの代表の永井から声がかかり、2016年の途中からジョインしました。マナボックスの理念に共感したんです。その理念とは、「お困りごとがあって、誰も解決してないところがあればそれを解決しよう!」というものです。海外子会社経営管理という観点から、日本企業を支援したいという想いがマッチしました。

嶋村:すごく珍しいご経歴ですね。経営管理を外部/内部からみられてきたことは貴重な経験だったと思います。そこからベトナムに訪越され、いろいろ文化や環境の違いに悩まれたのでは?ベトナムで実際直面された悩みなどありますか?

菅野さん:インドからベトナムですからね。仕事以外の問題は、ほとんど解決されましたよ(笑)。ローカルご飯はおいしいし、遊べるところもありますし。(インドの事は、大好きですよ。)難しい点は、現地の人とのコミュニケーションです。これは、インドでもベトナムでも変わりはありません。なかなか伝わらない。伝えても動いてくれない。などの悩みですね。ベトナムでは、都合が悪くなると、無視するという特徴もありますね(笑)。「無視かーい!」って。私の場合、仕事上、スタッフに対して、「依頼する」事がどうしても多くなります。その時、いつも留意しているのが、「脳みそを相手にすり替える」という事です。つまり、相手の立場に立ち、この人のベネフィットは何か?と常に想像するのです。スキルアップしたい?将来、高い給与もらえるようになりたい?ってな感じです。

このように相手の頭の中を想像した上で、「このプロジェクトを実行すれば、このスキルが伸ばせるよ。」「これを仕組み化すれば、もっと時間を効率化できるよ。」「その結果、成長して給与も高くなるはず。」などと説明します。この作業を根気よく繰り返すことが大事だと思っています。実際に、スタッフにプロフェッショナルとして成長してもらい、卒業してもレベルの高いところで働いてもらったらとても嬉しいですね。

よく、長く働いてもらうことがいいという人がいますが、私の考えはちょっと違います。3年くらいで、環境を変えるのが個人にも会社組織にもどちらにもいいと思っています。長いからいいとは限りません。ベトナムでは、会社が変わってもいろいろ協力するという可能性も高いと思います。転職ではなく、卒業と言ったのもそれが理由です。あくまで個人のハッピーを最優先しています。

あとは、めちゃくちゃ褒める、ことも重要ですね。スタッフのモチベーションは上がりますし、日本人と違って照れずに、素直にめちゃくちゃ喜んでくれるから、褒めるほうも楽しいですよ。

女性中心の職場で若手社員さんばかり。皆さん笑顔が素敵です!

嶋村:なるほど!転職でなく卒業ですね。新しい発想すばらしいです。たしかに転職が必ずしも悪いものでなくステップアップとして成功される方が多いのも事実です。日本の場合は、多くの方が終身雇用の考えが定着していますが、海外、ここベトナムはそうではないですね。ベトナム人の方と働かれて「ここ 難しいな。」と感じたこと・・・たくさんありますよね。代表事例はございますか?

菅野さん:繰返しになりますが、マネジメントの部分だと思います。決まったルールが運用されない。スケジュールが守られない。タスクが抜けてしまう、など。ベトナムで働く人は、同じようなことで悩んだこともあると思います。日々、私も悩んでいて失敗中なのですが、ある成功事例をお話ししますね。

弊社の今の一番の課題は、ずばり、生産性です。もう少し砕いていうと、お客様ごとに使った時間の効率化です。賃金水準が、なにもしなくても上昇していく国ですから、この問題は非常に大きいです。

まずは、どのプロジェクトにどれだけ時間を使ったか?これを、見える化しないことには、第一歩が踏み出せません。そのためには、時間を記録してもらうことが必要でした。そこで、Kintone というシステムを利用して、勤務時間を業務別に記録するというのをルールとして定めました。しかし、ほとんどのスタッフが、記録してくれません。毎日、スカイプやメールで催促する毎日でした。それでなんとか記録してくれる。そこで、やり方を変えました。それは、あるルールが効果的かも!と感じだからです。それは、罰則・ペナルティ的な事です。それは、日報をつけ忘れたら50,000ドンの罰金を課したのですね。

嶋村:Kintoneですね。最近弊社でもあるシステムで使用しています。管理手法といった点でも効果的ですね。また、菅野さんらしい面白い施策です。実際のその効果はどうでした?

菅野さん:このルールの効果は、マジヤバいです。ほぼ100%守られるようになりました。個人的には、このやり方が好きではないのですが、、、。なぜ、これが効果的だったか?自分なりに調査しました。ベトナム人の先生にも意見を伺いましたよ。ポイントは3つありました。

●発案者自ら本気だぞという姿勢を見せた。
最初にルールを破ったのは何を隠そう、私でした(汗)。当然、罰金を支払いました。そのため、スタッフも「あ、本気なんだ。」となったのだと思います。


社内パーティー恒例の記念撮影。
ベトナムの方はポーズが好きなんですよね。特徴的です。

●楽しいという要素を入れた。
私はこのような強制的なやり方は好きではありません。そこで、徴収した罰金は、スタッフみんなのおやつやパーティ代に使おうって言う風にしたのです。そのお金をみんなのおやつを買うために使用しました。そうすることで、罰金=罰という厳しい、怖い、ネガティブのイメージが薄れるのかなって感じてます。実際、私が支払った時にも、みんな笑って嬉しいそうでした。「おかし食べれるよー!って。」

●理由を何度も説明した。
これが大事です。なぜ、記録することが必要なのかを、何度も何度も説明しました。一方的に押し付けるやり方では、無理です。

先日、ベトナム人の文化・歴史を学ぶセミナーに参加しました。そこで、とても印象的な事を学びました。ベトナムは、歴史的には、中国などの影響を強制的に受けているという背景があります。でも、ベトナム人は強制されることは好きではありません。嫌いです。「ベトナムという国、ベトナム人は、歴史上、強制されてきた。でも、強制されることは嫌い。」ここにベトナムにおけるマネジメントのヒントがあるような気がします。今回、すごく効果的だった方法は、強制したという側面を重視しています。ペナルティですからね。ただ、一方で、スタッフ自身が楽しいという側面とか趣旨も丁寧に説明しています。この相反する概念をどっちもうまく使う。これが、効果的なやり方なのだと思います。

  • ①強制的なやり方が必要
  • ②でも強制的なことは大嫌い

この相反する2つの要素が組み合わさったときに、その効果が発揮されます。

嶋村:私も実際セミナー受けているみたいです(笑)。弊社も若手中心の職場環境、今後はこういう視点で変革に挑戦していかないといけないですね。さて、私の本題である菅野さんPRタイムに入っていいですか?菅野さんの現在しているお仕事について詳細教えてください。どうぞ!

菅野さん:弊社のテーマを、「経営管理で未来を創ろう!」にステップアップしています。これには、2つ意味があります。まずは、日本から進出している企業をもっと経営管理という点で支援したいという想いです。海外子会社の社長は、製造や営業出身の人がほとんどで、会計や税務の専門知識がない人がほとんどです。しかし、経営をしていく上で、会計力は避けて通れません。なぜならば、会計は会社の実態を数値で表したものだからです。会計力が不十分であるがために苦労している社長様、会社様を痛いほど見てきました。社長様が会計力を身につける事で、健全な未来への経営支援が出来ればと思っています。また、ベトナム人スタッフをもっとプロフェッショナルにしたいという想いも含まれています。現状は、書類を作成する。と言うところで満足してしまっています。これは、情報処理スキルです。しかし、そのスキルだけでは残念ながら不十分です。お客様の立場になって、何が問題点かを認識し、それを解決し、ハッピーにする。そして、一緒に未来を創っていくというような人材になってほしいという想いがあります。


お客様からの依頼ごとは即対応!日々仕事に邁進されている日常の1コマを撮影させていただきました。

嶋村:会計税務は企業のコア部分です。そこを支援してお客様に喜んでいただけるのはやり甲斐が存分にありますね。菅野さんの今後のキャリアプランお聞きしても良いですか?

菅野さん:「好きな時に好きな場所で好きな人と働く」それが、私の目標です。そして、会社の文化にもしたいと思っています。例えば、1か月のうち、3~4日はダナンのビーチ沿いで働く。などです。また、働き方改革もどんどん進めていければと思っています。今、取り入れようとしているのが、いわゆるテレワークです。月のうち3~5日は、好きな場所で働いていいよ!という制度です。いろいろな効果を期待できます。まず、妊娠しているスタッフや子供がいるスタッフにいい制度ですよね。それに、仕事の生産性向上や品質向上も期待できます。仕事は、コミュニケーションが必要なものとタスクを完了させるために1人で進める仕事に分類されます。そして、後者の仕事の割合を占める部分が意外と大きいのです。この場合、周りの雑音を一切とりはらって仕事に没頭すると生産性が一気に高まります。ベトナム人はおしゃべりが好きなので、雑談する時間が長くなってしまった。そして1日が終わってしまった。という事がよくあるんですよね。スタッフに聞いたら、「是非やりたい!」って言っていたので今月から始めようと思います。今は、テクノロジーが発展しており、クラウドをうまく利用すれば、場所を問わず仕事をうまく進めることができます。

嶋村:その働き方改革良いですね。私も是非挑戦してみたいです!発想を大きく変えて、たまには遊びの精神を取り入れる。本日は貴重な話をお聞きでき、勉強になりました。最後に、人材サービス会社ならでは数珠繋ぎでヒトを紹介していこうという新企画をまずは第一弾で実施することに決めました!菅野さんお勧めの方ご紹介お願いします。(いきなりの依頼ですみません・・・)

菅野さん:はい! ホーチミンに私の仲の良いフロンティアコンサルティングの中島さんという方がいるので是非、紹介させてください。ベトナムで一番パワフルな人です。お互い刺激しあって成長していける友人です。

嶋村:中島さんのご紹介ありがとうございます。本日はどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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インタビュアー
ハノイ支店マネジャー 嶋村 拓史(しまむら・たくじ)
E-mail: takuji.shimamura@hrnavi.com
Tel: 090 1828 660

コメント:ベトナムで人材採用のお手伝いをしております!人材の件でご相談ございましたらいつでもお問い合わせください。