Blog

2018年9月12日

人材から人財への道のり
VOL 15::権限がないから、誰にも指導できませんよ!

先日、ある些細な事が発端に大きな問題に発展したことがありました。新人のAnieさん(仮名、弊社では英語名で呼び合っています)がみんなで昼食食べようと事務所全員(と言っても20人ちょっと)にメールで声をかけました。メールリストで流したので、故意かいなかは定かではないが、ある部署へ配信しないことになった。すると、ランチの時間になって、その部署のメンバーだけが、取り残され、仕方なくお留守番になったわけです。

気にするほど、大したことではないかもしれませんが、残念ながら、女性の多い職場なので、みんなが必要以上に気にしました。「自分たちは仲良くしようとしているのに、なぜ、外されるの?」、「そうするなら、こちらも誘わないよ!」などなど。「誘われないなら、自分たちから誘ってあげればいいじゃないの?」とアドバイスしても、絶対いやだという、なぜかやや戦うモードでした。小さなオフィスなので、このまま放っておくと社内雰囲気も居心地も悪くなるので、「Anieさんは単に分かっていないだけかもしれないから、直接話してあげれば、どうですか?」と1年上の先輩であるJolieさん(同じく平社員)に助言しました。「いやです。私は権限がないから、誰にも指導できませんよ!」という。

確かに平社員同志なので、相手に怒ったり、指導したりする権限がないのはおっしゃるとおり。しかし、業務指導ほどのことではなく、ちょっとした注意で、ちょっとした気遣い程度なので、権限とは関係なく、普通にやってほしかったです。私は日本と関わって長くなりましたが、思えば、そういう世話好きな日本とよく出会いましたね。就活時に研究室の先輩が「日本語がハンディだと思ったら終わり!」、職場の先輩からは「クライアントから紹介される先は大事にしなさい」、「弁当ばかり食べないで、みんなとランチでも食べた方がいいよ」(笑)などなどです。

そもそも、日本では定期採用しているため、はっきりとした後輩先輩の関係ができています。先輩方から教わったので、今度、後輩たちに教える伝言ゲームができますが、ベトナムでは基本的にキャリア採用なので、後輩先輩の意識はまったくないです。それにしても、後輩に注意する内容というのはほとんどコミュニケーション上の注意点だと思います。相手の気持ちを十分に考えて、行動したり、相手に便利になるようにおもてなししたり、主に年上が年下に教えるようなことです。つまり、後輩先輩という概念がなくても、年上年下関係さえあれば、同様に注意しあう文化ができるのではないかとみています。

予定として、今度、社内の組合長と相談してみます。組合の中で、平社員に限定して「生まれ年の会」を作ってもらいたいですね。ざっと頭の中で、考えると弊社では、95年会:8名、94年の会:5名、93年の会:3名がいます。生まれ年の会で、関係維持をしてもらって、それから、年下に対して、お世話する考えを植え付けていれば、そのうちに理想の組織になるのではないかと期待しています。また、報告します。なお、このような会運営は会社が介入すると硬いので、組合の方でやらせた方がいいという点がポイントです。

次回は「関心のないことは、調べませんが、関心のあることは調べていますよ」の罠について、考えてみます。

―――――

プロフィール
Nguyen Dinh Phuc
E-mail: nguyen.dinh.phuc@hrnavi.com
Tel: 097 869 8181

国費留学生として、選ばれ、1996年~2006年まで日本で留学と仕事を経験したのち、ベトナムに戻り、日系企業に対して、経営助言のコンサルティングをしました。ベトナム人は比較的にレベルが高くないという実態をなんとかしたく、2010年からアイグローカルリソースを創設、ベトナムにある人材のレベルアップを会社のミッションに、日々、努力しています。