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2020年5月13日

人材から人財への道のり::VOL 31::チームリーダーの宣言

先日、ある日系大手企業の現法法人に対して、リーダー研修を企画しました。対象は管理者クラスで、彼らに向けて、講師があるケースを持ち出しました。

ある日突然あなたが今まで全く知らないチームのチームリーダーになると告げられました。さて、チームメンバーに対して、最初にあなたがやることは何でしょうか?

こう言われると何となく昔見た日本のドラマを思い出します。指名された新部長は部員一人ずつ話し込んで、場合によっては一緒にお酒を飲んだり、しっかりとお互いを分かち合えた上で、さあ、これから一緒に頑張ろうねという感じではないでしょうか?ベトナムバージョンですと、初日に部全体の業績が悪いうんぬん言うのはよくありません。士気を高めるためにすぐに食事会を開き、2次会はカラオケと決まっています。そうやって、2日目からはみんなとも仲良くなり、部全体が明るくなり、業績が悪いことはみんな分かっているから、言わなくてもきっと頑張ってくれるでしょうと。

やり方はみんなそれぞれで、正解はありませんが上記のやり方だとベトナムではかなり誤解されやすいです。なぜなら、この部長では成果よりも人間関係を大切にして、楽しく仕事すればよいと思われるからです。そうなると、今までトップランナーであった部員はやる気をなくし、成果が下がり、そのうちに退職してしまうことさえありえます。一方で、成果の上がらない問題部員はさらに安心して、仕事をしないで遊んでばかりになり、周りに悪影響を与え続けます。そして、部長と部員の距離が近くなったがために、業績が悪いからといって、部員にとても怒りづらいですし、部員からしてもそれまで仲良かったのに、突然態度が変わりいきなり怒られるのはどうしても理解できず、反感を抱いてしまうわけです。

ですので、初日はリーダーとして、どうチームを運営するかをみんなに決意表明したほうが良いというのが講師の意見でした。

一方で、採用のコンサルタントとして、新メンバー受け入れる時にも、このリーダーの決意表明もとても大事と私は考えています。はっきり伝えていないがために、メンバーは事の断片からしか、リーダーのことを理解できないので、誤解も生まれやすいですし、誤解を解きにくいわけです。とくに転職やキャリア、人間関係についても啓蒙を兼ねて伝えるべきです。

例えば
・転職に関して、「よい転職を応援するので、隠さないで、正々堂々転職活動をしてもらたい」また「転職は重大な決定なので、私(リーダー)を含めて、メンバーに対する怒りから、転職してはならない。落ち着いて考えてほしい」
・キャリアに関して、「あなたのキャリアを伸ばすのはリーダーの責任です。時にはきついことも言うが、それはあなたのキャリアを考えてやっているだけです。」
・人間関係に関して、「このチームではOne For All、All For Oneをモットーにしています。メンバーを誹謗中傷するなどは絶対許しません」

上記の例はごく一部で、自由に工夫すればよいのですが、長いスピーチだけはポイントがぼやけるのでやめましょう(笑)。かと言って、弊社の中間管理職がしっかりとリーダーの決意表明ができているかというと微妙ですが、まずは必要性を理解してもらって、そのうちに自信が付いたら、やってくれることを期待しています。
※御社のローカル幹部に対して、レクチャーすることは可能です。必要な際にはぜひ、ご相談ください。

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プロフィール
Nguyen Dinh Phuc
E-mail: nguyen.dinh.phuc@hrnavi.com
Tel: 097 869 8181

国費留学生として、選ばれ、1996年~2006年まで日本で留学と仕事を経験したのち、ベトナムに戻り、日系企業に対して、経営助言のコンサルティングをしました。ベトナム人は比較的にレベルが高くないという実態をなんとかしたく、2010年からアイグローカルリソースを創設、ベトナムにある人材のレベルアップを会社のミッションに、日々、努力しています。

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