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2021年1月6日

人材から人財への道のり::VOL 39:諦めやすい

上司:それ、どうなっている?
ベトナム人部下:○○で、△△になって、だから、できませんでした。

上記のような会話に聞き覚えはないでしょうか?私は嫌になるぐらいほぼ毎日、スタッフとこの会話ををしています。「じゃあ、あなたはどう努力したの?」「したわけ?できないことに対して、自分には責任ないと思うのか?」「そのぐらいで諦めるの?」などなど突っ込みどころがたくさんあります。

これは問題に対して、「必ずやってやる」というこだわりがないとも言えます。
過去の記事「VOL 11::こだわりのないベトナム人」のとおり、こだわりは自分自身に対する基準であり、ベトナム人はそれより、クール(ベトナム語NGẦU)であることを意識しています。つまり、自分の評価軸ではなく、周りの評価を行動指針にします。よって、他人でもできないなら、自分ができないのは当たり前でしょうということを立証するかのように、先に理由を述べるわけです。そこで「他人ができないことでも自分ならできる」「やってやる」という意識はなかなか生まれないのはどうしてか、ちょっと考えてみました。

  • まず、競争に慣れていない。スポーツをやっている人が少ない。やるにしても日本のように大会などが少ない。唯一あるのは数学オリンピックという特別教育ぐらいである。
  • 争いごとは悪いという社会的な意識がある。儒教的な感じで、争うぐらいなら、あげてしまう。今の学校でも成績を競い合うこと自体を悪としている。
  • ベトナムも少子化が進んで、学校での関わり以外、近所の子と遊べなくなったため、競うこともなくなっている。
  • その代わりに、バーチャルの世界でゲームを通じて競うので、世界中と戦うため、なかなかNo.1を目指す意識は生まれてこない。
  • 理由はさておき、ベトナムメディアでは頑張っている事例の紹介が、日本と比較して少ないように思う。

一方で、日本では部活動がとても盛んで、部活を通じて、スポーツマン精神が鍛えられるのです。企業が体育会系人材を好んで採用するのもこの理由でしょう。日本のメディアでは「日本一」という言葉をよく耳にし、NO.1になるのが社会的なステータスですが、ベトナムではあまりNo.1という言葉を聞かず、ほどほどのレベルを目指す傾向があります。

人生において、NO.1にこだわることがよい価値観かどうかは一言では言い切れません。争わない平安な生活も立派なものですが、仕事においては競争が基本なので、競争をエンジョイできる組織程、成長するのではないでしょうか?

スタッフが諦めず、挑戦する姿勢になってもらうための手順を紹介しようと思います。

  1. 競争を極端に嫌うスタッフを採用しない、あるいは競争に強いスタッフを雇う
  2. 前号の記事のように、楽しみながら、やれる仕事を増やし、自信を持ってもらう
  3. 自信がついたら、さらにターゲットを引き上げて、挑戦してもらう
  4. そうやって続けていくと、どんどん上に上がっていき、自分でもNo.1になれるいう意識が生まれて挑戦しようと思うようになる

決して、近道はありません。
日々スタッフと向きあって、丁寧に啓蒙、育成あるのみです。

次回は質問上手な子が少ない理由について、考えたいと思います。

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プロフィール
Nguyen Dinh Phuc
E-mail: nguyen.dinh.phuc@hrnavi.com
Tel: 097 869 8181

国費留学生として、選ばれ、1996年~2006年まで日本で留学と仕事を経験したのち、ベトナムに戻り、日系企業に対して、経営助言のコンサルティングをしました。ベトナム人は比較的にレベルが高くないという実態をなんとかしたく、2010年からアイグローカルリソースを創設、ベトナムにある人材のレベルアップを会社のミッションに、日々、努力しています。

人材から人財への道のり